4丁目5番地

原点が存在する、はずなんだけどそれだけど。

2012-01-31

はじまりのメーテルリンクをもう一度

何歳頃だっただろう。姉が読んでいた本を何の気無しに手にとって読んでみたら、面白くて何度も読み直すほどに夢中になった。メーテルリンクの「青い鳥」。それから時はうんと経て、長い間本棚に入れたままになっていたのをふと取り出して読んでみたら、これがまた面白い。訳者(田中義廣)も上手なのだろう。隙のない緻密な文体だ。題名は「蟻の生活」。作者はやはりモーリス・メーテルリンク

これも何かの偶然かなぁ。もういっぺん元の位置に戻ってみて考えてみなさいという、これは何か啓示なのかしらんと勝手に解釈して喜んだ。メーテルリンクによればアリは呑み込んだ食物をそのまま貯留する「社会袋」を体内に持ち、反吐によって仲間に分け与える。「アリは打算無しに与え、何ものをも、自分の体内にあるものでさえ所有しない。彼らにはほとんど食欲もない」・・・自分の生き様のこれは対極だ。アリは常に全体の一部を為しているがゆえに不死であり、幸福のうちに生きているとメーテルリンクは言う。「なぜなら、アリは自らの周囲で生きている者の内に生き、すべてが彼の内で彼のために生き、同様に彼はすべての内に、すべてのために生きているからだ」。 どの頁を開いても、この本は読ませる。否、この歳になって現今の状況だからこそ読めるようになったのかもしれない。